JSA

災害問題研究委員会

活動の計画・目標・行事など

「49・50・51期のおもな研究テーマや活動予定

  1. @低頻度大規模災害の予測・対処法:首都圏及び南海大地震に備えて
  2. Aハザードマップ・地域防災計画(原発防災対策を含む)の有効性の検証、作成手続き
  3. Bソフトとハードの防災対策の選択:自治体・住民・専門家の立場から
  4. C復興:被災者の生活支援と生業再建、再建計画への国・自治体・住民の関わり方(国土問題研究会、全国災対連等と協同)

お知らせ

最近の活動

『日本の科学者』2014年5月号(Vol.49 No.5)「科学者つうしん」〈委員会コーナー〉から

災害問題科学研究討論会開かる

2014年2月22日(土)日本科学者会議大阪支部において,全国災害科学研究討論会が開催された.研究委員会関係者,この問題に関心のある会員・非会員併せて18名の参加を得て,災害問題に関する10編の報告が行われ,活発な議論が交わされた.

報告題目は「東日本大震災後の伊勢ほかの自治体の防災対応」(前田定孝),「陸前高田の震災復興」(上野鉄男),「低頻度激甚災害と進化する自然災害の問題」(清野政明),「防災論-その現時点での諸問題」(志岐常正),「2013大島土砂災害速報」(中山俊雄・川合将文),「オリンピック招致都市改造と防災問題」(川合将文・中山俊雄),「宇治市,宇治川沿川の水害」(宇民正・小林芳正),「適切な避難情報発信のために必要な水象予測」(奥西一夫),「2013年9月16日,危機に瀕した宇治川堤防」(紺谷吉弘),「2013台風18号災害:破堤寸前だった宇治川・桂川および嵐山の越流被害」(池田碩)である.

東日本大震災後の遠隔地自治体の防災対策づくり,被災地の復興過程の諸問題,近年の集中豪雨に伴い,危機にひんした京都の河川,とくに宇治川の実態,そこで明らかとなった住民への警報のあり方などが報告された.

また,低頻度激甚災害への対処,災害論も議論された.

発表件数,参加人数とも前回(名古屋)よりもやや増加し,微速ながら運動に一定の発展があった半面,発表・討議に十分に時間が割けなかったことが反省点である.
(小林芳正)

新メンバーが加わり活性化(『日本の科学者』2013年4月号より)

災害問題研究委員会は,関連研究者が連携して,調査研究を推進し,被災者救援を図ることを柱として活動してきま したが,阪神・淡路大震災以降,活動が停滞し,2009〜10年度(第45〜46期)は休止状態に陥りました.2011年に復活 されたものの,東日本大震災の発生で,主要メンバーが調査等に忙殺され,同年(第47期)中は委員会も開かれないま ま推移しました.しかし,2012年(第48期),19総学で災害問題分科会を持ち,その機会に委員会を開催して新体制を 発足させることができました.この再建委員会に現役世代の研究者が新たに幹事として加わることにより,委員会活動 が活性化し,2月22日,名古屋大学で研究討論会を開きました.

近年の活動停滞の原因を探っておきたいと思います.まず,阪神淡路大震災頃より,メンバーの高齢化,退職等によ る活力の低下があります.また中堅層会員の要職就任に伴う活動困難化,それを補うべき現役世代の若手研究者周辺の 多忙化,業績競争激化等により,科学者運動全体が困難になっていることがあげられます.

一方,住民運動にも質・量とも変化がありました.水害裁判の相次ぐ敗訴により裁判支援の要請はなくなり,近年, 大規模災害の被災者支援は,2000年に創立された「全国災対連」により行われています.その創立・維持に科学者会議 も一定の貢献をしてきましたが,委員会としての活動になっていませんでした.

昨秋からの委員会活動活性化の経験は,活動する中で新しい発展の芽が見出されることです.この動きをさらに推し 進めるのが目下の課題です.(小林芳正)

災害科学研究討論会

 2013年2月22日(金)名古屋大学において災害問題研究討論会が開催されました。会 合には研究委員会関係者および開催地の支部会員、自治体問題研究所員等併せて16名が 参加しました。災害問題に関する7編の報告が行われ、活発な議論が交わされました。

 報告のテーマは、「足尾鉱山すのこ橋堆積場の安全問題」(小林芳正)、「今後の超 巨大地震にそなえる」(古本宗充・山崎文人)、「笹子トンネル事故を考える」(西山 豊)、「日本の国土の地震・津波災害条件と災害型の変化」(志岐常正)、「日本災害 法研究史」(前田定孝)、「東北日本太平洋沖地震による豊洲汚染地の液状化と関連す る諸課題」(坂巻幸雄)、「2011年9月台風12号による紀伊半島豪雨災害とダム」(宇 民正)と多彩でした。

 とくに、東北大震災の経験を踏まえて、来るべき南海トラフ地震や津波の災害の予測 問題、最近の豪雨水害や笹子トンネル事故、東北大震災の被害から再燃した鉱山堆積場 決壊の不安など、対象事象が広範にわたっただけでなく、災害法研究史の報告もあり、 従来、理系に偏りがちだった災害問題研究に新しい風がもたらされたといえます。

 発表件数があまり多くなかったので、個々の発表について質疑討論がかなり出来たほ か、最後に総合討論の時間も設けられ、日頃の学会発表の消化不良が解消できたという 声も聞かれました。

集会後の幹事会で、来年度も同様の研究討論会を開催することが合意されました。時 期は未定ですが、地方支部の関連集会に連携するか、あるいは独自に開催されるでしょ う。今回の会合で、研究委員会に新メンバーが加わるという成果もありましたが、まだ より広い専門分野からの参加が求められています。今後、JSAの災害研究能力をレベル アップしていくため、災害問題に関心のある方は文系・理系を問わず委員会にご連絡く ださい。(小林芳正)

過去の取り組み

阪神淡路大震災から10年一安全なまちが形成されたか一
                 (『日本の科学者』2004年9月号より)

 来年の1月17日は阪神淡路大震災からまる10年にたちます.周知のように,この地震は戦後形成された年の脆弱性を見事なまでに暴露しました.この10年,様々な機関で防災対策が取り組まれました,結果,安全なまちが形成されたといえるのでしょうか。

 10年を契機として,政府の「国連防災世界会議」神戸市開催を筆頭に,神戸市では様々な機関による災害メモリアル行事が企画されています.一方でこれ等が阪神淡路大震災への幕引きという側面も負わされています.

 災害問題研究委員会では,39期には「関東大震災80周年記念防災シンポ」の開催や『日本の科学者』災害特集(2003年11月号)企画担当,東京科学シンポ災害分科会「災害と市民生活」(2003年11月)等を開催し,災害科学研究の現状,防災運動の到達点と課題について学習してきました。

 この10年,地震観測体制の充実や,耐震工学・震災対策の大きな進展,それを受けた被害想定地図の作成もすすみました.しかし,一方で耐震補強の必要な住宅や鉄道・道路などの耐震補強は遅れ,住民の暮らしの安全にはつながってはいません.また,被災者生活支援での一定の前進はあるものの,防災を名目に大規模開発を是認する規制緩和や有事立法と一面で共通する内容をもつ大規模地震対策特別措置法をてこにした憲法改悪への動きも起きています。

 今40期,委員会では,災害問題を総合的に,また科学論・技術論の立場からとらえることをめざし,災害科学の自然科学からの検討の場として2005年春に災害科学研究討論会の開催を,社会科学からの検討の場として,15総学で災害分科会の開催を計画しています.

(『日本の科学者』2002年12月号より)

災害問題研究委員会が現在取り組んでいる課題は大きく四つあります。

ひとつは、阪神・淡路大震災以降とりわけ大きな問題となっている被災者救済の課題です。

この大震災では、被災者救援に全国から多くの団体が参加しました。その中から自然発生的に芽生えた被災者支援の願いは、2000年1月に「全国災対連」の結成として実を結びました。科学者会議は幹事団体として、政策作り分野での活動が期待され、現 在、「被災者への公的支援と生活再建」の法制度改善に取り組んでいます。昨年1月の第7回メモリアルデーからは、被災者支援は人権問題だとして、大きく運動が展開し始めています。第8回メモリアルデーには災害委員会も積極的に参加します。

二つめは、各地の災害問題への取り組みです。この数年間、各地で地震被害や豪雨災害が発生しています。このうち芸予地震では呉市の斜面災害には、災害委員が参加し、災害と被災者支援に取り組んでいます。

三つめは、首都圏の地震防災と三宅島噴火災害の課題です。東京支部主催の都政シンポ(12月7〜8日)の災害分科会には委員会として支援します。また、「日本の科学者」で予定されている震災問題特集についても委員会として積極的に協力するとともに、委員会活動の成果を取りまとめる機会として位置づけています。

四つめは、委員会活性化の課題です。委員会の若返り、総学を委員会活動の中に位置づけること、災害問題に関心のある全国会員との情報連絡の場として、メールメーリングリスの活用を進めています。災害委員会のメーリングリストを立ち上げました。