原子力問題研究委員会

活動の計画・目標・行事など

「49・50・51期のおもな研究テーマや活動予定」

福島第一原発事故の徹底解明、軽水型原発の再稼働、新規運転開始問題、プルサーマル問題、原発の防災問題、放射性廃棄物の処分問題、原発の老朽化問題等、原発をはじめ原子力施設を抱える地域では、日本科学者会議会員がその解決に向けて果たしてきた役割は非常に大きい。当委員会はそうした科学者と協力・連帯して活動していく。また、全国各地の抱える原子力問題を、その地域の科学者と協力して原子力発電問題全国シンポジウム等を開催してきた経緯をふまえ、今後も原子力発電問題全国シンポジウムを当該地域の支部等と共同で開催していく。

お知らせ

『日本の科学者』2014年7月号(Vol.49 No.7)「科学者つうしん」〈委員会コーナー〉から

福島原発事故3周年シンポジウム開かれる

3月16日午後,東京都内で標記シンポジウムが開催された.本会の原子力問題研究委員会と核・エネルギー問題情報センター(NERIC)が共催した.両者は福島原発事故後の2011年4月に緊急シンポジウムを開催して以来,毎年シンポジウムを共同開催してきた.現在,原子力規制委員会は既設原発が新規制基準に適合するか審査している.規制委が適合すると判断した原発について政府は,その判断を尊重すると称して再稼働を認める考えである.また政府は,原発の新増設が難しい中,原発の海外輸出を進めている.

シンポジストは本島勲(電中研),舘野淳(NERIC),児玉一八(原発問題住民運動石川県連絡センター)の三氏で,それぞれ「今 福島原発は!−廃炉措置を問う」「再稼働反対の技術的論点」「原発の耐震安全性と活断層問題」の演題で問題提起し,総合討論が行われた.正味3時間のシンポジウムとはいえ,その内容を短い紙幅で紹介するのは難しい.関心のある読者は,NERIC NEWS 2014年4月号に林弘文静岡大学名誉教授が紹介しているので,これを参照されたい.

福島第一原発の事故炉の廃止措置は,耐用寿命を全うした原子炉の廃止措置(いわゆる廃炉)とは異なり,事故処理のひとつ,事故の後始末である.それを通常の廃炉と同様の呼び方を意図的にするのは,事故炉の後始末の費用を電気料金に転嫁し国民に負担を強いる政府・電力企業の陰謀ではないかと感じた.この点での解明を期待したい.
(野口邦和)

福島原発事故3周年シンポジウム

福島第一原発事故から3年経ちました。事故炉の廃止措置が完了するまでに今後さら に30〜40年を要するとされています。廃止措置の第一歩として昨年11月から4号機の使 用済燃料貯蔵プールから核燃料の取出しが始まりました。しかし、事故現場では現在、 増え続け、漏れ続ける汚染水問題が喫緊の課題となっており、とても「収束」したなど と言える状況にはありません。一方、政府は原発依存度を減らすと称しているものの、 新規制基準の下で運転停止中の原発の再稼働を企図しています。

そこで下記要領で福島事故3周年シンポジウムを開催し、これらの諸問題について検 討を加えたいと考えておりますので、多数の参加を期待します。

1 日時 2014年3月16日(日)午後1時〜4時
2 場所 日本大学歯学部1号館4階第九講堂
      JR御茶ノ水駅、東京メトロ千代田線より徒歩 3分
3 内容
 1) 今 福島原発は!―廃炉措置を問う―
    本島 勲(元電力中央研究所主任研究員)
 2) 再稼働阻止に向けての技術的論点
    舘野 淳(核・エネルギー問題情報センター事務局長、元中央大学教授)
 3) 原発の耐震安全性と活断層問題―志賀原発を事例に―
    児玉一八(原発問題住民運動石川県連絡センター事務局長)
 4) 総合討論

4 主催 日本科学者会議原子力問題研究委員会
     核・エネルギー問題情報センター(NERIC)

5 参加費 無料(ただし資料代 500円)

[チラシ]
    

最近の活動

第32回原子力発電問題全国シンポジウム「福島原発災害と再処理工場の実態--原子力発電を問い直す--」

日時:2011年8月27日(土)〜28日(日)
場所:岩手大学総合教育研究棟(教育系)北桐ホール・E21室

8月27日(土)(13:00-17:30) 
公開シンポジウム「福島原発災害と再処理工場の実態--原子力発電を問い直す--」
<第一部>講演:福島原発事故を検証する
 1. 福島原発で何が起こったか(舘野 淳 氏)
 2. 放射能・放射線による環境・人体への影響(野口邦和 氏)
<第二部>パネルディスカッション:エネルギー・原子力政策のあり方を問う
 パネリスト:本島 勲 氏・岩井 孝 氏・清水修二 氏・永田文夫 氏
 コーディネーター:野口邦和 氏

8月28日(日)(9:00-12:00)
原子力問題シンポジウム
<第三部>再処理工場の危険性
 報告 再処理工場の仕組みと実体(市川富士夫 氏)
    地震と再処理工場(青森支部 松山 力 氏)
    再処理工場からの放射能放出と海洋汚染(川崎 健 氏)
 討論 進行:舘野 淳 氏・野口邦和 氏

主催:日本科学者会議エネルギー・原子力問題研究委員会
   原子力発電問題全国シンポジウム岩手実行委員会

「福島原発問題について(科学者の目)-科学者による原発事故の解説-」〈JSAwiki科学者の目〉

福島原発問題に関して、上記webページにおいて「科学者による福島原発事故問題の解説」を掲載しています。ページは随時更新されています。この解説についての御質問やご意見は、gempatsuアットマークjsa.gr.jp にお寄せ下さい。

『日本の科学者』2010年5月号(Vol.45 No.5)「科学者つうしん」〈委員会コーナー〉

 原子力発電所など原子力施設や研究所のある地域を中心に,20名ほどの委員でエネルギー問題から原子力問題までの広い分野を, 各委員の専門性と興味・関心を生かしながら活動しています. 委員会は,旅費の関係もあって年2回程度の開催となりますが,各委員が地元で,あるいは全国的に活発に活動しています.

 この1年間のおもな活動としては,2009年9月,新潟大学で第31回原子力発電問題全国シンポジウムを開催しました.同シンポジウムでは,2007年7月の新潟県中越沖地震から2年経過したことを受けて,「原発と大地震災害・耐震安全性」をメインテーマに,中越沖地震災害の現地報告,活断層と原発耐震安全性などの問題を検討しました. また,新潟原発40年の現状・教訓・課題,核燃料サイ クルと再処理の安全性,プルサーマル計画導入問題,さらには核燃料サイクルと核拡散,再生可能エネルギー問題についても検討しました.

 2009年10月には,日本各地の原子力発電所にプルサーマルが導入されようとしている状況に鑑み,これまでの委員会の研究成果を踏まえ,「日本各地の原子力発電所へのプルサーマル導入に反対する」見解を表明しました.また,この見解を原子力安全委員会,資源エネルギー庁などの諸機関,民主党などの政党,プルサーマル導入が計画されている原子力発電所のある県などに申し入れました.

 原子力施設の耐震安全問題は引き続き検討していく必要があります.この外に原子力発電所の老朽化問題なども検討する必要があります. (野口邦和)

最近の活動(「日本の科学者」2004年4月号より)

原子力をめぐる情勢と原子力問題研究委員会の活動

 2002年8月に明るみに出た東京電力の応力腐食割れ損傷隠し事件は依然として影響を残し,夏に停電の可能性が真剣に取り上げられ,電力供給システムの原発依存体質の脆さをさらけ出した.2003年にはいってからの大きな出来事は,1月の名古屋高裁金沢支部のもんじゆ設置無効判決,12月の石川県珠洲原発の計画撤回,同じく12月東北電力が巻原発を正式断念,住民や自治体の反対によって依然として進まないプルサーマル計画などの問題があり,関連して六ケ所再処理工場の運転開始をめぐって,経済上・技術上の理由から反対の論調が多く見られた.一方山口県上関原発建設をめぐる動きが急展開しており,もし建設されたとすると,瀬戸内海という文字どおりの内海に建設される原発として,環境上もっと重視すべき問題である.
 本委員会では,3月15,16日と8月23日に定例の委員会を開催し,全国の情勢を討議した.その中で取り上げられた問題としては「北朝鮮核開発問題,東海地震と浜岡原発防災訓練,電源三法改正問題,もんじゆ判決と国の姿勢,JCO判決と国の責任,我が国最後の炭鉱である北海道太平洋炭鉱(現釧路コールマイン)が閉山を迎えようとしている問題,保安院の機能など国の安全チェック体制の問題,応力腐食割れと研究体制の問題」などがある.
 8月24日東京の中央大学理工学部を会場に行われた第26回原子力発電間題全国シンポジウムでは「・事故隠しと技術者の論理,・安全審査・規制行政,・維持基準問題,・原研・核燃サイクル機構統合問題,・電源三法30年,・開発体制抜本見直し,・東京大停電,・釧路コールマイン」などのテーマで報告討論が行われた.エネルギー問題にも力を入れつつあることが活動の特徴といえよう.

最近の活動(「日本の科学者」2002年10月号より)

原子力問題研究委員会からの報告

 昨年11月、浜岡1号炉において水素爆発による配管破断事故が発生した。原子力安 全・保安院はこの事故に関して最終報告書を出したが、その爆発メカニズムは依然と して解明されていない。このようにいまだに原因不明の事故が発生するということは 軽水炉技術が成熟したものでないことを示しているといえよう。本委員会の例会で は、この問題のほか、各地の原発の事故・故障問題、当初予算8000億円が総事業費3 兆9000億円に膨れ上がった、六ヶ所再処理工場の経済問題、国際熱核融合実験炉 (IETA)の設置候補地が六ヶ所村に決まったこと、日本原子力研究所と核燃料サイク ル機構との無原則的な合併によって、原子力研究が危機にさらされている問題、原子 力産業会議におけるプルサーマル問題の討議の様子、など最近の原子力界の動きが報 告・討論された。
 毎年開催している原子力発電問題シンポジウムは本年は『プルサーマルと省庁再編 をめぐって』のテーマで東京においてミニシンポの形式で開催した。軽水炉を運転す ると使用済み燃料中にプルトニウムが生成・蓄積する。一方六ヶ所村の再処理工場が 2003年にはウランテストを予定している。この工場を稼動させるかどうかを含め、わ が国のプルトニウム政策をどうするかが厳しく問われている。本ミニシンポでは発言 予定者が病気で欠席したこともあって掘り下げた討論ができなかったが、いずれ何ら かの形で、議論が必要であろう。
 最近は原発シンポの開催地がなかなか見つからない。本来ならば、原子力発電所の電 気を消費している大都市が、原子力問題を含めたエネルギー問題を自分たちの問題と して受け止め、積極的に開催地となってくれることが望まれるのだが。