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   小選挙区制の導入に強く反対し,衆議院定数の抜本的是正を求める声明

 現在,攻府・自民党は「政治改革」と称して,小選挙区制の導入を実現しようと,大多数の国民の反対を無視して強引に準備をすすめている.私たちは,すでに1990年5月の第25回定期大会において「小選挙区制・政党法に反対し,日本の民主主義を守ろう」という決議を採択しているが,法案が8月中にも提出されようという重大事態の中で,再度態度を表明する.
 そもそも,代議制をとる議会は,有権者の意思が忠実に反映するように構成されるべきであり,民主的な選挙制度とは,そうしたことを実現させるものでなければならない.しかるに小選挙区制なるものは,唯一の当選者以外の侯補者に寄せられた有権者の意思をすべて「死票」として切り捨て,大政党に圧倒的に有利となる極めて非民主的な最悪の選挙制度である.そうした制度を敦府・自民党はいま,敢えて導入しようとしているのである.ここに私たちは,衆議院で3分の2以上の絶対多数を得て,現行憲法を改悪しようという牧府・自民党の意図を見出さざるを得ない.恒久平和を希求し,科学研究,教育の民主的発展をめざす私たちは,小選挙区制の導入が日本の平和と民主主義を根本からくつがえし,学間・思想の自由も弾圧された,あの戦前のような時代をふたたび招来させることを危惧する.
 こうした政府・自民党の企図に対し,野党の中に.は比例代表制との「併用制」であれば小選挙区制の導入を認めようとの意向があるが,「併用制」であっても小選挙区では大量の「死票」が生ずる非民主的な本質にはいささかも変わりなく,いかなる形であれ小選挙区制の導入を認めることは,政府・自民党の策動に手をかすものと言わざるを得ない.今必要なことは,各地の裁判所で判決が出され,違憲状態となっている現行中選挙区制での定数是正を行い,将来的には比例代表制など,より民主的な選挙制度を確立することである.
 私たちは,小選挙区制の導入に強く反対し,衆議院定数の抜本的是正を直ちに行うことを強く求める.
            1991年6月30日
            日本料学者会議