共生社会研究委員会

最近の活動

11月30日共生社会研究会の報告(『日本の科学者』2010年2月号より)

 2009年11月30日京大会館で開催された共生社会研究会では京都大学の植田和弘氏,立命館大学の竹濱朝美氏のお話に対し,参加した30人の中から活発な意見や質問が出されました.

 植田氏は現在,政府の「地球温暖化対策の経済的影響を試算するタスクフォース」の座長として鳩山内閣が打ち出した2020年までの中期目標である「1990年規準で温室効果ガス25%削減」の実現可能性や「国民負担世帯あたり36万円」の算定根拠の前提条件などの検討作業にあたっています.この議論を通じて,「自公政権からの枠組み(審議会メンバーの継続や鉄鋼生産量2020年1億2000万トンの前提条件など)をそのままにしての検討は無理,マスコミの自主的判断抜きの報道姿勢にも問題があるのではないか」と指摘されました.また「デンマークやドイツではエネルギー政策は地方自治体の担当部門だが日本では原発をはじめ国家戦略課題となっていることが前進できない弊害となっているのではないか」と指摘がされました.

 竹濱氏はドイツの太陽光・風力発電の振興・普及政策と日本の方式の違いと今後の展望について話されました.ドイツにおける固定価格買い取り制度は1990年の電力供給法,2001年の再生可能エネルギー法,2004年の法改正の3段階を経て,風力発電・バイオマス・太陽光発電など様々な再生可能エネルギーの供給量が増加しているが,特に「買取り制度などの安定性が保証されていないとシステムを提供する企業は生産に前向きになれない」との指摘は日本における温暖化対策の政策の一貫性を求める重要な指摘でした. (山本正志)

『日本の科学者』Vol.45 No.2(2010年2月)「科学者つうしん」<委員会コーナー>より

最近の活動(「日本の科学者」2005年9月号より)

 共生経済研究委員会は,昨秋立命館大学で開かれた第15回総合学術研究集会において「総学」史上はじめて経済学系の分科会が開かれ,「持続可能な文明を支える経済基盤の探求」をテーマに報告,討論が行われたのをうけて,その継承・発展のために今年新設されたものです.主な活動としては,毎月1回,第1日曜日の昼間(午後1時半一)に京都市内の会場で定例研究会を開くことになっており,これまですでに下記3回の研究会が開かれました.
 第1回(5月1日)「<もうひとつの世界>論をめぐって」
 第2回(6月5日)「共生経済の理念について」
 第3回(7月3日)「2つの資本主義一アメリカ型と欧州型一<持続可能で平和な共生社会>を求めて」
 8月のみ「夏休み」とし,9月以降は,下記のとおり,月例研究会を行います.
 第4回(9月4日)「成熟社会の条件」
 第5回(10月2日)「エネルギー間題と持続可能性」
 第6回(11月6日)「中国経済をどう評価するか?」
 「新設」という事情から,研究委員会のメンバーもまだ確定していません.京都市内で、行われる月例研究会にご参加いただきやすい方を中心に,ふるってご応募ください.
 また,研究会への参加は,<専門のいかんやJSA会員であるかどうかを問わず自由>を原則にしています(非会員のみ500円の参加費が必要).慣例化している研究会後の懇親会もふくめて,ご指導下にある院生,学生などにとって貴重な機会になる場合が多いはずです.どうか,参加をお勧めください.