憲法研究委員会(51期新設)

最近の活動

『日本の科学者』2014年8月号(Vol.49 No.8)「科学者つうしん」〈委員会コーナー〉から

憲法研究委員会―課題と現状を
憲法研究委員会

憲法研究委員会は,2012年岡山で開催された19総学で岡山支部が中心になって設置した分科会を母体に,昨年5月に発足しました.現在,20総学でのA−3分科会「日本国憲法の人権国家構想−安倍政権の国家構造改革批判」を成功させるために取り組んでいるところです.

憲法研究委員会は,日本国憲法は21世紀の日本の国家構想であり世界構想でもあるとの想定の下に,以下の4つの課題をかかげて取り組んできています.

第一は,安倍内閣の憲法構想(自民党「日本国憲法改正草案」〈2012・4・27〉)を,軍事と教育,そして中央地方関係に着目して批判的に解明することです.

第二は,基本的人権の比較を研究の共通視点に設定することとし,自然権思想に着目することで,研究をすすめてきています.安倍首相の「集団的自衛権」=「自然権」(『美しい国へ』)とする議論の批判的検討にも取り組んでいるところです.

第三は,「憲法を暮らしに活かし政治に活かす」ために,「市民とともにする科学者運動」を目指しています.

第四は,政治学と法学の総合研究を目指して,総合とは何か,その具体的なあり方を探り出すことです.

これまで,20総学に向けて3回の研究会を開催しました.今後,20総学を成功させ,その成果を本誌に発表できるような形にまとめていくことも考えているところです.現在のメンバーは8名(憲法学5名,政治学2名,行政法学1名)です.          (小畑隆資)

活動の計画・目標・行事など

「49・50・51期のおもな研究テーマや活動予定」

  1. @自由民権時代の私擬憲法草案や明治憲法との対比において、日本国憲法の意義および自民党「日本国憲法改正草案」(2012年4月)等の国家構想を解明する。
  2. A国家維持の二大双柱は教育と軍事である。教育と軍事における日本国憲法破壊の現状を解明し、日本国憲法の意義と展望を明らかにする。
  3. B国家の骨格は中央・地方関係にある。そこでの国家主義的改変の現状を批判的に検討し、日本国憲法の構想する中央・地方関係を明らかにする。
  4. C日本国憲法の基礎は基本的人権である。それは、@ABの研究がすべて共有している基本視点であるが、ドイツの基本権あるいはイギリスの自然権との比較によって、日本の基本的人権の現状と展望を明らかにする。
  5. D以上によって、日本国憲法を「暮らしに活かし」、「政治に活かす」道筋を明らかにする。また、9条の会などと連携し、そのJSA講師団形成をめざして、市民と共にする科学者運動として取りくむ。


2013.6.1 作成