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  オウム真理教への破壊活動防止法適用に反対する声明

 政府はオウム真理教による一連の蛋行に関連し破壊活動防止法(破防法)の適用のための法的手続さを開始した.しかしこの破防法なるものは,日本国憲法第21案にある,国民の基本的人権の一つである結社の自由に抵触するとする専門家の意見も多く,同法第2条にわざわざその危険性に留意すべきことをうたわざるを得なかったものである.たしかにオウム真理教の蛮行は断じて許されるものではなく,徹底的に糾弾されなければならない.しかしその再発防止は宗教法人法による解散で十分であり,あえて破防法を適用することは不要であると共に,国民の基本的人権を侵す危険が強く絶対に反対である.
そもそもこの法律は国家権力が左翼思想を敵視し強行可決したものであり,これまでまったく適用されなかったのは,国民の民主主義を求める世論によるものであった.しかもオウム事件に間しては,警察の捜査が無実の国民を疑うなど後千後手にまわって真犯人追及がおろそかになったといわれており,その結果凶悪な犯行を許したともいえる.それを逆用して破防法を強引に適用するとすれば,それは明らかに日本の民主主義にとって許しがたい暴挙である.それは今後日本のあり方への影響を考えれば,オウム真理教にる蛮行とともに歴史に汚点を残す犯罪といわざるを得ない.
 われわれは,日本における平和と民主主義を発展せる立場から,今回の政府による破防法適用に強く反対し,直ちにその方針を撤回するよう求めるものでる.
1995年12月20日
                    日本科学者会議