PKO協力法の廃止と自衛隊のカンボジア派兵の中止を求める(声明)

 宮沢内閣は「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」(PKO協力法)の強行成立にひきつづき.カンボジアヘの自衛隊派遣をすすめている.PKO協力法は日本国憲法第9条に違反するものであり,私たちはその廃止をあくまで要求する.
 仮にこの法律の立場に立ってもPKO協力法では「武力紛争の停止およびこれを維持するとの紛争当時国間の合意」がPKO活動の必要条件の一つになっており,ポルポト派が武装解除を拒否し,武力行使を停止していない状態においては.この必要条件が満たされていないことは明らかである.したがって,自衛隊の派遣は直ちに中止すべきである.
 そもそも.PKO協力法は「国際貢献」という名目で,国達の指揮によるPKOに協力するためというのが政府の説明であった.ところが,去る9月の国連総会で,アメリカは「加盟国はそれぞれの軍隊使用の最終的決定権を保持する」という国連の指揮権を拒否する提案を行っている.これは従来のPKOを全く変質させ,一国ないし多国籍軍に.よる武力行使に道を開くことになる.
 いま,日本は重大な岐路に立たされている.国際平和に貢献するためわが国が行うべきことは,かつての侵略戦争を心から反省し,従軍慰安婦を含む全ての被害者に償い,唯一の被爆国として核兵器の廃絶と軍事ブロヅクの解消の先頭に立つことである.
 私たちは,憲法違反のPKO協力法を廃止し,カンボジアヘの派兵を直ちに中止することを要求し,ここに声明する.
                1992年10月4日
                日本科学者会議