JSA

         声  明

 去る1月18日,本島等長崎市長が右翼の凶弾を受け重傷を負った.この事件は,本島市長のこれまでの勇気ある発言を封じ,生命を奪い,さらにその威圧で国民の言論の自由をも封殺しようとする野蛮な反国民的行為である.本島長崎市長のこれまでの発言は,第2次世界大戦における昭和天皇の戦争責任の存在や被爆者の心を代表したものなど,国際的にも国内的にも当然のこととして受けとめられている内容である.またいかなる理由があれ,本島市長の発言に関し身体生命に危害を加えてよいとする論理はどこにもありえない.いま国際的にも東欧問題などを通じ,自由と民主主義が叫ばれているとき,日本における言論の自由や民主主義の実態について改めて問われなければならないであろう.とくに天皇制に対する自由な批判が,マスコミなどでもいまだにタブー視されていることが,今回の蛮行を生む素地となったことを軽視すべきではない.

 われわれは,今回の事件を怒りをもって糾弾するとともに,世界の平和と人類の進歩,そして日本における自由と民主主義の発展にむけ一層奮闘することを表明するものである.

 1990年1月21

               日本科学者会議